ベンチャー企業へ転職を検討する前に知っておきたいこと

ベンチャー企業へ転職を検討する前に知っておきたいこと

 

ベンチャー企業への転職を検討しているんだけど、イマイチよく掴めないんだよね〜

 

 

昨年、名刺管理サービスの「SanSan」やクラウド会計ソフト「freee」といった大型企業の上場が行われました。

フィンテック・サブスクリプション・SaaSといった新たなトレンドがビジネスの世界に登場し、既存のビジネスに大きな影響を与えはじめています。

そんな中、学生や第二新卒の就職活動にも変化が見え始めました。

かつては歴史と伝統のある、大企業へ就職するのがエリート就活生のゴールでした。

その傾向は現在でも強いと言えますが、少しづつベンチャー企業を志望する学生が増え始めているのも事実です。

東大生が希望する企業の中には、ベンチャー御三家と言われる、サイバーエージェント・DeNa・楽天といった企業が名を連ねるようになったのです。

現在、大手企業で働くビジネスマンもベンチャー企業の転職が相次ぎ、人事部は頭を悩ませています。

かく言う私も大企業からベンチャー企業へ転職をした一人です。

確かに、現在私が勤務している某ITベンチャー企業には、大手自動車メーカー・メガバンク・大手外資系IT企業ような名だたる企業の出身者がメンバーとして集まっています。

しかし、折角一大決心をして転職をしてきたにも関わらず、すぐに退職をしてしまう人も少ないのが現実。

多くの場合、転職者が抱くイメージとのギャップと、自己理解の低さが関係しているように思われます。

そこで本記事では、ベンチャー企業への転職を検討している人ならば必ず知っておかなければならないベンチャー企業の常識とメリット・デメリット、どんな人がベンチャー企業に向いているのかといった情報をお伝えしていきます。

こんな方にオススメの記事

・ベンチャー企業への転職を検討していている
・ベンチャー企業に対する解像度を上げたい

ベンチャー企業へ転職を検討する前に知っておきたいこと

ベンチャー企業とは

意外かもしれませんが、ベンチャー企業に明確な定義はありません。

定性的な言葉を使用して説明するのであれば、革新的な技術・ビジネスモデルを持って、成長を志向している企業だといえます。

具体的に線引きをするのであれば、投資家やベンチャーキャピタルといった出資者から資金調達を行なっている・IPO上場を目指しているかどうかが一つの指標になるでしょう。

またベンチャー企業にもフェーズがあり、設立したばかりの状態をシード期、企業価値(=株価×株数)に合わせてシリーズAからDそのフェーズが進んでいきます。

しかし、これもまた明確な定義が無いのです。

実際ベンチャー企業に含まれる企業群の中には時価総額が2兆円を超えるような企業も含まれているのです。

因みにこの2兆円という金額は、日経企業でいうとニトリ・住友不動産・イオンが該当します。

株価が変動すると時価総額も変動しますが、全盛期のzozo(2018/7/18時点)で1兆5000億あったのです…

参考:ベンチャー御三家の時価総額(2020/2.14時点)

 

・サイバーエージェント:5379億
・楽天 : 1兆2982億
・ディー・エヌ・エー : 2418億

ベンチャー企業で働くメリット

安定・高待遇を捨ててまで、やりがいを求めベンチャー企業へチャレンジする人々がいます。どのようなメリットがあるのでしょうか。

1.裁量が大きい

ベンチャー企業の事業にはマニュアルがありません。
自分が事業を作っていくのです。

正解の無い中で、何度も何度も意志決定を行わなければなりません。

自分の意志決定一つで事業の方向性をガラリと変えることができます。

一方で大きな責任が伴いますが、その裁量の大きさがベンチャー企業の醍醐味だと言えるでしょう。

2.豊富なポジション可能性がある

事業が拡大すると人がどんどん入社してきます。
そんな成長フェーズの企業ではマネジメントを行う必要性があるのです。

プレイヤー業務からマネジメント業務へ移行することは、ビジネスマンであれば誰もが経験したいキャリアです。

大手企業であれば、企業の成長率は数%の世界でしょう。

その為、新たなポジションができる可能性は少なく椅子が空くの待つしかありません。

必然的にマネジメントのフェーズを経験できる年齢が、高くなってしまいます。

一方、ベンチャー企業はインターンから新卒として入社した企業であっても、マネージメントに携わり中途の中堅社員を取りまとめなければならないのです。

3.ストックオプション制度がある

未公開企業であれば、ストックオプション制度があり、従業員が株式を保有するチャンスがあります。

ストックオプションとは、株式会社の経営者や従業員が自社株を一定の行使価格で購入できる権利。

https://ja.wikipedia.org/wiki/

例えば、一株100円で買える権利を付与された従業員がいたとします。

その後、企業が成長し株価は1000円になりました。

現段階で、従業員が権利を行使すると、1株1000円の株式を100円で購入することができる為、900円の利益を得ることができるのです。

この制度はベンチャー企業で働く上では非常に重要です。

資金力など、ベンチャー企業にはありませんので、高額な賃金はもらうことができません。

しかし、目先の利益にとらわれず、将来的に莫大にリターンが貰える可能性がある、ストックオプション制度は不可実性の高い企業で働く上で非常に重要な材料になるのです。

4.意思決定のスピードが早い

ベンチャー企業はとにかく意思決定が早いです。

大企業であれば、新しい事業を立ち上げようと思った際には、上司のそのまた上司を説得する為に、現状や市場の分析をした上で、もっともらしい資料を準備する必要があります。

費やす時間は膨大になる上、すぐには承認がおりません。

一方、ベンチャー企業は、チャット1本で承認が通ります。

ベンチャー企業で働くデメリット

やりがいある様々な経験が可能なベンチャー企業。入社後すぐに退職してします人も多いのが事実。どのようなデメリットがあるのでしょうか。

1.給料が安いフェーズを我慢しなければならない

いつ脱出することができるのか、そもそも出口があるのかどうかさえわからない暗闇の中、賃金が安い状況に耐え忍ぶ必要があります。

社長であっても、会社からの給料は必要最低限に留め、家賃と食費で精一杯というケースが当たり前です。

最初は我慢できるかもしれませんがこの状況が2年3年と続いたらどうでしょうか。

ベンチャー企業の中でも、初期のフェーズに入社すればするほど、暗闇を経験する時間が長いのです。

今でこそ売れに売れている有名なバンドマンや、お笑い芸人、過去のエピソードを見るとそこには様々なメンバーの卒業が描かれています。

2.事業売却や倒産のリスクがある

上場を夢見て起業。

しかし、そんな企業も9割は倒産しているのです。

資金調達が上手くいかなかった。仲違いをした。

原因は様々ですが、ベンチャー企業の生存率が低いということは意識しておかなければなりません。

また事業の売却という可能性もあります。

私が入社するか悩んでいたとあるスタートアップ企業も事業を売却していました。

採用媒体のWantedlyを見ると、その時いたメンバーのほとんどは違う会社に転職をしていたようでした。

余談ですが、私の会社にも事業責任者が面接に来ていました。

3.物事の整理整頓に時間がかかる

新規事業の担当者と話をしていると、大手はオペレーションが決まっていていいですよねという話に良くなります。

事業を進める上で、オペレーションをどうしていくか、決めていくのは非常に時間がかかります。

何度もディスカッションをして決めたことが翌日には変更になることもよくあります。

そんなこんなで、物事の整理をしていたら本来割くべき活動に時間を割けなかったという事態は結構あります。

大企業のようにオペレーションが決まっていないので、物事が整理整頓された状態じゃないと嫌なんですといった人にはデメリットに感じる可能性があります。

ベンチャー企業に向かない人の特徴

私がベンチャー企業に転職をしてから、大手から転職を決意したものの、「なんだか自分は会社に合わない気がする」といって退職していってしまう人を何人も見てきました。

彼らに共通していた事項はどのようなものだったのでしょうか。

1.年収を気にする

「前の会社では1000万くらい貰っていたんだけどな〜」
「同期が外資系企業で働いていて1500万近く貰っているらしい」等々未練タラタラで年収の話をよくする人がいます。

その時は仕事がきつかったり、やりがいがなく、転職を決意したものの、実際転職をして年収の上がり方に陰りがで始めるとそうした記憶が薄まってしまい、外資系企業や大手企業の高待遇が裏やましく感じるてしまうのです。

年収を凄く気にする人はベンチャー企業には向いていないでしょう。

恐らく、私の周りで耳にする悩みの中では一番多い内容になるでしょう。

2.ワークライフバランスを大切にする

「私、定時帰ります」という姿勢はベンチャー企業では難しいでしょう。

社内には優秀な人が多く、そういう人が仕事をとっていってしまいます。

与えられた目標に対して結果を出し続けるのは当たり前です。さらに自分で課題を見つけ、それを解決していく。

その回数を重ねることで様々な人からの信用が積み重なり、大きな仕事を任せられるチャンスが回ってくるのです。

労働時間と仕事の生産性は関係しないと言われていますが、実際長時間働いている人が出世をしていくイメージです。

ワークライフバランスを求める人は別の道を模索するのが良いでしょう。

3.カオスな状態を楽しめない

オペレーションも秩序も無く業務がどんどん進んでいく環境はまさにカオスです。

KPIを設定しろと言われても、何も参考にできる情報が無くエイヤで決めなければならない場面も多いです。

「オペレーションも綺麗に決まっていないと嫌」、「昨日決めたことがどうして変わっているの」とカオスの状態を楽しめない人にとって非常にストレスを感じる環境になってしまうと思います。

4.年齢が高い=先輩という思考が強い

年功序列など勿論存在しません。
後輩であっても先輩にビシバシ指導していかなければならないのです。

年功序列を気にする人や、「なんで年上の俺が命令されなきゃならないんだ」と考えるような人にはベンチャー企業は向かないでしょう。

ベンチャー企業へ転職する前に必ず確認しなければならないこと

ベンチャー企業はとにかく情報少ないです。そんな中でも、入社前には必ず確認しておいた方が良いことがあります。

1 ベンチャー企業のフェーズ

自分が入社しようとしている企業がどのフェーズなのかはざっくりとでも良いので把握しておくようにしましょう。

例えば、上場後後、事業がかなり安定し従業員の数が多ければ、安定した労働時間でしっかりとした給料をもらえる可能性もありますが、それなりにオペレーションも決まっていて、ポジションも埋まってしまっている可能性もあります。

一方、フェーズが早ければ、ポジションどころか事業も決まっておらず、裁量ある仕事が経験できる一方、暗闇を這いつくばらなければならない期間も長くなる可能性があります。

自分がどんなフェーズの企業で働きたいのかを明確にしておくことでミスマッチを防ぎましょう。

2.共に働くメンバー

特に初期のフェーズでは誰と働くかが非常に大切になります。

代表・役員がどんな人なのか、働いている従業員はどんな人が多いのか、今後どのような人を採用しようとしているのか、しっかり把握しておくことが重要です。

面接ではマネージャーや代表者と話すだけで入社を決断する人がいますが、1日だけでも良いので働かせて貰う場を設けたりすることで従業員とコミュニケーションをとり、ミスマッチを防ぐことが重要です。

3.市場動向・競争環境

ベンチャーは既存の市場を食いにいきます。
しかし、既存事業が食われている、資本力のある企業はも指を加えて市場が食い荒らされるのを黙って見ている訳ではありません。

例えば最近、キャッシュレス戦争が展開されPayPay・メルペイ・ラインPayと様々な企業がシェアを奪いあっていました。

そんな中、ベンチャー企業として市場を奪いに行っていたOrigamiは、単体での勝ち筋を見出す子ができず、結局会社を売却してしまいました。

この事例はあくまで結果論ですが、自分が入社しようとしている企業はどんな市場を食いに行こうとしていてどんなプレイヤーがいるのか、勝ち筋はあるのか自分の中でも整理しておく必要があります。

ベンチャー企業へ転職したい人へ

先日、電通が上場以来初の赤字を叩き出したことで話題となりました。

テレビ広告という、成果のわかりづらかった市場が、デジタルマーケティングという手法に食われる続けています。

既存のビジネスが立ち行かなくなってきている大企業も、新規事業の開発を急いでいます。

変化の激しい時代の中で自分の経験やノウハウが使えなくなる可能性に怯え、新たなチャレンジをする人々が増えてきている印象です。

今の安定を捨てて、チャレンジをすることは非常に勇気のいることだと思います。

自分にとって転職するメリット・デメリットをしっかりと把握した上で後悔の無い転職になることを願っています。

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